| 男はつらいよ? 2003/02/09 霧のただよう滑走路にたたずみ、イルザ(バーグマン)とラズロ(ポール・ヘンリード)を乗せた双発機を見送るリック(ボガート)。その心中いかばかりかと思われるシーンですが、彼はあくまでクールで、表情にはかえってことを達成した満足感さえ浮かんでいるかに見えます。 映画が制作された年代から考えれば、『カサブランカ』(1942) に登場するリックの行動に仮託された意味は明らかです。私情を捨てて祖国開放という大義のために尽力する彼の姿は、そのまま戦意昂揚のためのプロパガンダと見ることができます。 一方、戦後にこの作品が公開された日本において、多くの人々がリックに喝采をおくったというのは、描かれた状況こそ正反対ではあっても、滅私奉公を美徳とする日本人の心性にかなった行動だったからなのかも知れません。 もっとも、『カサブランカ』が「名作」といわれ、年月を超えて鑑賞され続けてきたのは、それが単なるプロパガンダ映画にとどまらないロマンスを描いた作品であったことも大きいでしょう。山田宏一さんが「バーグマンをめぐる三角関係も、エゴイスティックな愛を犠牲にして、ナチ占領時代のレジスタンスを背景に生きる男たちの心意気と共感によって純化され、美化されて」いる「アメリカン・ロマンス」と述べているように(『恋の映画誌』)、そのロマンス性こそが、私たちの持つ別のある心情により多くうったえてくる要素だと思うのです。 ひとりの男のもとに困難に直面した女性が現われる。一方で苦々しい思いを抱きながらも陰ながら女性に助力する男。むろんその胸中には女性に対する恋情がひそんでいる。危機的な状況を克服し他の男とともに去って行く女性と、留まる男性。 きわめて単純な図式にするとこう説明できる『カサブランカ』のロマンスですが、これによく似た話をどこかでご覧になったことはありませんか?そうです、キャラクターの設定や物語の細部の違いに目をつぶれば、この展開はまさに『男はつらいよ』なのですね。 作品を見る者の目には、主人公の思いがありありとわかる。にもかかわらず、その理由はどうあれ彼はその思いを封印し、それとは反対の行動をとることで、自分の思い描いていたものとは違う未来と遭遇する。 大義などという押しつけられた理念を体現するというのではない、ひとりの人間の最大限できる選択としてのこうした結末を見るとき、私たちは「やせ我慢」とでもいうべき態度、その粋な精神性に共感し、それを讚えたい気持ちを持つのではないでしょうか。 知らず知らず私たちは、ボガート扮するリックの姿に寅さんをかさねていたのかも知れません(映画の冒頭近く、リックがルノー警察署長に「君は皮肉屋のように見えて案外情にもろい」といわれる場面があったことに気がつきました)。そう考えてはじ めて日本人の『カサブランカ』好きが納得される、と私は思うのですが‥‥。 |
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| 装飾家 2003/02/08 古い映画のなかには、女性のデコレーターが多く登場します。私が見た限り、最も有能で美しいデコレーターは『Goodbye Again(邦題:さよならをもう一度)』(写真左:1961年アナトール・リトヴァク監督)のポーラ(イングリット・バーグマン)でしょう。彼女はその魅力によって、図らずもクライアントの御曹子フィリップ(アンソニー・パーキンス)を虜にしてしまいます。 |
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| 最も美しいバーグマンは『カサブランカ』のイルザという声をよく聞きます。当時20歳台半ば、瑞々しいバーグマンの姿はたいへん魅力的です(写真:右は『カサブランカ映画で覚える英会話』という本です。カバーは絶対これであるべき!)。 でも、しかし、なのでした。 確かに美貌ではあるけれど、あるいは美貌であればあるほど、彼女のしっかりした身体のラインが気になるのです。これは単に好みの問題かもしれませんが、もう少したおやかなラインが欲しいと私は思うのでした。 サガンの小説『ブラームスはお好き』を原作とする『Goodbye Again』は、イヴ・モンタンとバーグマンが主演する大人のラヴロマンスです。小粋な仕上がりに見えるこの作品ですが、あるいはバーグマン・ファンにとっては、ちょっとツライ話なのかもしれません。 ポーラは自分のことを「40歳」と言うのですが、バーグマンの実年齢はもう少し上で40歳台半ば。自分に気はあるけれども結婚は求めない浮気男ロジェ(モンタン)と、そんな彼との関係に疲れを感じるポーラ。そこに現れた一途なフィリップに結婚を申し込まれて‥‥。そんな彼の思いはわかっていても、相手の若さと自分の年齢との差を考えて「もう私は年寄りなのよ、おばあちゃんなのよ」と叫ぶ姿は痛ましく悲しいものがあります(40歳でおばあちゃんはないでしょ、と思うけど)。 けれども、何と魅惑的なバーグマンであることか! 若い頃は欠点と思われた身体のラインがまったく逆に作用して、艶やかな大人の色気をかもしだしているのです。若くて金持ちのフィリップが惑溺してしまう納得の美しさ。ディオールの衣装もよく似合っていて、とても素敵です。 私にとっては、最も美しいバーグマンを発見することができて、ほんとうに嬉しい作品なのでした。 |
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Zenのしつらえ 2003/02/07 アメリカ映画を見ていると、精神分析医がよく登場しています。ブレイク・エドワーズ監督の『ピンク・パンサー』シリーズでも、クルーゾー警部の超人的な活躍(?)に悩むドレフェス署長がカウチに横たわる場面がしばしば出てきました。 市内にもここ数年の間に、ずいぶん病院(診療所)が増えました。最近では病院の倒産も少なくないという新聞記事を読んだこともあって、病院は設備投資も大きいし、たいへんなんだろうなぁ、と思いながら眺めていて、思ったこと。 精神分析医は良い!(かも知れない)。 映画で見る限り、精神分析医は身一つ(ただし知識付き)でOKのように思えます。レントゲンの装置や手術室やわけのわからない大掛かりな検査機械は必要ありません。 ね、安上がりでしょう? そのかわり、患者さんにリラックスしてもらうために、診察室内の調度にはそうとう神経を使わなくてはならないのでした。 上質なカウチ(もしくはソファ)、心洗われる美術品、シックな壁紙(あるいは凝った装飾の塗り壁)、重厚なマホガニーのデスク、本棚には革装のシェークスピア全集etc.。もちろん先生の服装だって大切です。 こう考えてくると、これまた別の意味で、かなりの設備投資が必要となる模様。 でも、とここで私はまた思うのです。私たちにとって、そういう空間はリラックスできるでしょうか?やっぱり、畳ではないかしらん。 和のしつらえが一番安心できる、とおっしゃる方は少なくないと思います。 外国の方にも受けそうですよね。“Oh! Zen (禅).”なんて言って大いに喜んでいただけることでしょう。 伝え聞くところによれば、ロシアでも日本ブームが起こっているとか。日本のデコレーターのみなさま、外貨獲得のチャンスです。 |
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ゆれるネコの日 2003/02/06 作るものは決めているのですが、ついつい違うものを作ってみたくなるのが、私の悪いクセです。今日も楽しいものが届きました。顔になっているバリのボタンです。これを使ってみたくて、あれこれ考え始めてしまい、ちっとも作業が進みません。ネコの日(2月22日)に向けてやらなくてはならないことがあるのに、困った。 だんだん、そもそもの方向が間違っているような気もしてきました。 私は本を作ろうと思っています。本には内容があるので、その内容を無視してデザインするわけにはいかないのでした。もっと自由に考えてみたくなっているのです。 もちろん、違うものを作り始めても良いのですが、完成しないのではないかという恐れがあります。全部中途半端で、何一つ完成しなかった、という事態は避けたいですよね。 でも、外側をまず作る。そして、それに合わせてテクストを書き下ろす!というのも、楽しそうですね。これまた“野望”だけど。 |
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ソボブキレコード 2003/02/05 夢のトイレで有名なソボブキ西尾さんが、レーベルを立ち上げました。その名もソボブキレコード!第一弾は「ソボスド」です。今日届きました。 いいですよぉ〜。ヴォーカルの須藤まゆみさんもとってもキュートです。蚊取り線香のことを歌っている(?)「うず」が特に好き。 |
ユペール 2003/02/04 歌い手によって、曲の色合いはずいぶん違います。ユペールのカヴァー曲を先に耳にしていた私には、フランソワーズ・アルディの歌が淡くはかない感じがしました。彼女のオリジナルが劣っているというのではなく、そこに明確な表現の違いがあるのです。 この曲の聴き所は、その始まりから1分半を越える時間(曲の半分近く)、歌い手が伴奏とともに、歌詞を朗読するように発声している部分でしょう。 ここでイザベル・ユペールが際立っていると感じられるのは、やはりその「語り口」=「ナレーション」であり、発音された声そのものなのです。 上手いとか下手だとか、歌唱の単純な優劣ということを聞き手に意識させず、抑揚のある乾いて少しかすれた彼女の声によって歌われる言葉が、この曲のイメージをよりよく表現していると思いました。 もちろん、女優という職業柄、彼女にとって「語る」という行為は取り立てて難しいことではないのかも知れません。けれども、役者ならば誰でも同じように出来るのかと考えると、どうもそうでないような気もします。役者にはとかく演技力が必要といわれますが、役柄の特質を反映するその演技とは、言葉をいかに正確に読み取りそれを理解するかという読解力、いわば言葉に対する感受性やイマジネーションによってささえられた結果なのではないでしょうか。 歌うことも演技のひとつの形であるとすれば、「Message personnel」におけるユペールの明瞭な語り口によって示されているのは、この曲の世界に対する彼女の認識であり、それはそのまま彼女の知性の証明となっているように、私には思えるのでした。 かねてよりすごみのあるすぐれた女優として注目していたイザベル・ユペール(ジャンヌ・モローの正統的な後継者は彼女だと思う)の歌が、女優の余技としてではなく、さらに奥行きと拡がりをもった本格的なものになってゆくのが楽しみです。そんな彼女の歌をもっと聴いてみたいと思います(既に夫が注文していました)。 彼によれば、フランス・ギャルもこの曲のカヴァーを入れたアルバムを発表しているとか(どうしてこんなことまで知ってるのでしょう?)。聴きくらべてみると、また違った世界があるかもしれません。 |
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フランソワーズ 2003/02/03 このところ、『Queen's Fellows』をかけることの多い私。「COBALT HOUR」を繰り返す私に(かっこいいよね、クレイジーケンバンド。作業もはかどります!)、たまには大貫さんの「私のフランソワーズ」も聴かせてほしいと夫はいいます。ユーミンよりいいからと。 |
| その一方で彼は映画の公開を機に、しばらくお蔵入りしていた『8人の女たち』のサウンドトラックをよく聴いていて、なかでもイザベル・ユペールの歌う「Message personnel」をとても気に入っている様子。 クレジットを見るまで気が付きませんでしたが、これは1973年にリリースされた同名のアルバムに収められたフランソワーズ・アルディの詞による曲でした。ユーミンや大貫さんのようにフランソワーズに憧れた世代ではないので、すぐにはわからなかったのです。 オリジナルを聴いてみたいな、と思いますよね?こういうとき、我が夫ながらあぜんとしてしまいます。彼は持っているのですよ、その曲が収められているフランソワーズ・アルディのディスクを。 彼女のアンソロジー『En Résumé』(写真:上)にも、「Message personnel」が入っているのでした。早速キッチンの吊り戸棚から探しだし(収納不能に陥ったディスクの一部はこんなところにまで進出しています)、聴いてみました。 【明日↑に続く】 |
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あと20日! 2003/02/02 今日もいくつか作りました。フィードサックは扱いやすくていいですよね。もっとたくさん買っておけば良かった‥‥。 紺色の本の上にある白い雪と緑のクローバは鳩目です。こんなかわいらしい鳩目もあるのですね。アメリカのショップで購入したものなので、当然インチピッチ。しかたないのでパンチも一緒に買いました。 |
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うさこ 2003/02/01 うちのコ自慢です。michiさんのウサギがわが家にやってきました!“クリスマスくまくん”の妹です。とっても愛らしくて眺めてはニンマリ。今度自然光でもっとかわいく撮ってあげるからね。 |
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